七十二候 第22番 · 4月20日 – 4月24日
葭始生
Ashi hajimete shōzu · First reeds sprout
川辺や湿地で、葦の若芽が水面を突き破り、春が大地に深く根を下ろしたことを告げている。
穀物を育む雨が土を柔らかくし、水辺はそれに応えるように緑を芽吹かせる。沼地や緩やかな流れのほとりでは、葦の若芽が静かな水を縫うように顔を出している。湿った土の匂いと、渡り鳥の遠い声が風に混じる。
自然便り
葦の新芽は泥と浅瀬を突き抜け、春の光の中でほとんど透き通るほどに柔らかい。鷺は営巣地に戻り、緑に染まり始めた湿地を歩きながら小魚を探している。空は曇りでも晴れでもない独特の柔らかさを帯び、朝靄は池や水を張り始めた田んぼの上にいつまでも漂っている。
旬
果物
いちご
枇杷(びわ)
柑橘類(晩生みかん)
キウイ
野菜
筍
蕗(ふき)
山菜
春キャベツ
魚
鯛
しらす
若鮎
食卓
01
筍ごはん
掘りたての筍を炊き込んだご飯は、穀雨の恵みを受けた大地の甘みをそのまま味わえる。
02
鯛の塩焼き
桜鯛と呼ばれるこの時季の鯛は、身に上品な脂がのり、塩焼きでその旨みが最も引き立つ。
文化便り
この候は昭和の日(四月二十九日)の時期にあたるが、農村ではより身近な意味を持つ。葦の芽吹きの様子で水の状態を読み、間もなく始まる田植えに備えるのだ。古来、葦は祓いの力を持つ草とされ、その葉擦れの音は水の神への祈りを運ぶと信じられてきた。
葦の芽や水面に映る空ひとつ
ashi no me ya / minamo ni utsuru / sora hitotsu
reed shoots emerge — / reflected on the water / a single sky
葦は知っている——立ち上がることは、暗がりの中で、静けさの中で、水面の下でひそかに始まるのだと。