七十二候 第23番 · 4月25日 始まり
Last frost, rice shoots sprout
Shimo yamite nae izuru
一年 · 七十二候
月も終わりに近づくと、朝の空気から刺すような冷たさが消え、代わりに湿った土と温む水の匂いが漂う。苗代には朝靄がたなびき、まだ親指ほどの早苗が、目に染みるような緑を水面に映している。数週間前まで草を白く染めていた霜は、いつの間にか北へ退いていった。
燕はすでに夏の縄張りに落ち着き、田の上を低く飛んでは水面から立ち上る虫を追う。夕暮れになると雨蛙の声が幾重にも重なり、畦道の用水路では水馬が空を映す水面を滑る。泥の中では蜻蛉の幼虫が蠢き、羽化の時を待っている。
筍ごはん. 掘りたての筍を薄味の出汁で炊き込んだ春の味——硬くなる前の、ほんの一瞬を捉える料理。
鯛の酒蒸し. 産卵を控えて身が最も繊細になった鯛を、酒と昆布でふっくらと蒸し上げる。
この候は「水入れ」の始まり——田に水を引き、大地を空の鏡へと変える時である。農家は暦を読み、遅霜の気配が完全に消えるのを見届けてから水を放つ。静かな所作の中に、一年の実りへの祈りが込められている。
市場
果物
いちご
枇杷(びわ)
晩生みかん
夏みかん
野菜
筍(たけのこ)
蕗(ふき)
木耳(きくらげ)
独活(うど)
魚
鯛
鰆(さわら)
しらす
俳句
苗代の水面に雲の流れをり
in the nursery field / clouds drift across the water — / seedlings stand waiting
便り
自然、食、文化、そして俳句。いつも同じ順序で、いつも五日間。新しい季節が始まる日の朝七時にお届けします。配信停止はワンクリックで。
最近の便り
021 虹始見 First rainbows appear Niji hajimete arawaru 4月15日 022 葭始生 First reeds sprout Ashi hajimete shōzu 4月20日 023 霜止出苗 Last frost, rice shoots sprout Shimo yamite nae izuru 4月25日