七十二候 第50番 · 9月13日 – 9月17日
鶺鴒鳴
Sekirei naku · Wagtails start to sing
川辺に鶺鴒の澄んだ声が響き、秋の透明な空気が朝ごとに深まる頃。
川石の上で鶺鴒が尾を振る。チチッ、チチッと高い声が水面を渡り、対岸の葦まで届く。朝露が蜘蛛の糸に数珠なりに光り、空気は薄く冷たく、遠くの音までよく聞こえる季節になった。
自然便り
鶺鴒は山間の渓流から里の川へ下り、縄張りを主張して鳴き交わす。田の稲穂は頭を垂れ始め、黄金色へと色づきつつある。朝靄は谷間から立ち昇るが、日が高くなれば消え、抜けるような青空が広がる。
旬
果物
ピオーネ
シャインマスカット
梨
早生柿
野菜
松茸
銀杏
しめじ
薩摩芋
魚
秋刀魚
戻り鰹
鱸
食卓
01
銀杏の塩焼き
殻ごと炒って弾けさせ、翡翠色の実を塩で食す——秋の深まりを告げる酒肴の定番。
02
しめじと豆腐の澄まし汁
しめじの香りと絹ごし豆腐を澄んだ出汁で仕立てた椀物、朝の清涼な空気そのもの。
03
梨の白和え
しゃりりとした梨を豆腐と胡麻で和えた一品、甘さと抑制の調和が秋らしい。
04
松茸ご飯
待ちに待った松茸を炊き込んだご飯、台所に満ちる森の香りが秋本番を告げる。
文化便り
九月半ばは月見の支度が始まる頃。薄を摘み、月見団子の準備をし、澄んだ夜空に浮かぶ名月を待つ。鶺鴒の澄んだ声は、古くからこの時季の月の美しさを告げるものとされてきた。
鶺鴒の声の透けゆく朝の川
sekirei no / koe no sukeyuku / asa no kawa
wagtail's cry / passing clear through / the morning river
鶺鴒が石を離れ、白と灰色の影が川面をかすめてゆく——残された静けさは、一層深い。