七十二候 第48番 · 9月2日 – 9月7日

禾乃登

Kokumono sunawachi minoru · Rice ripens in the fields

稲穂が黄金色に染まり、穂先が重みで頭を垂れる——収穫を目前に控えた田園の風景。

んぼを渡る風が、実りの重さで頭を垂れた稲穂を揺らす。九月の陽射しは柔らかく、青々としていた田が淡い金色に移ろうのを見届けている。朝夕の空気は涼しさを帯び、夜明け前の谷間には薄い霧がたなびく。

自然便り

赤とんぼが畦道を群れ飛び、夕暮れの光にその翅を透かせる。蝉の声は遠のき、代わりに草むらから鈴虫やコオロギの音色が聞こえ始めた。水を落とし始めた田の縁では、鷺が身じろぎもせず小さな獲物を待つ。

果物

ピオーネ

シャインマスカット

二十世紀梨

かぼす

野菜

しめじ

里芋

松茸

銀杏

秋刀魚

食卓

01

新米のご飯

今年初めての新米を、何も足さずに炊き上げ、その甘みと艶を味わう一膳。

02

里芋の煮物

出汁でじっくり炊いた里芋、ねっとりとした食感が秋の到来を告げる。

03

松茸の土瓶蒸し

松茸の馥郁たる香りを閉じ込めた澄まし汁、蓋を開けた瞬間に山の気配が立ちのぼる。

04

鮭のちゃんちゃん焼き

味噌とともに秋野菜と焼き上げる鮭、北の川を遡上し始めたこの時季ならではの味。

文化便り

「禾乃登」の頃、農家は空模様を読みながら稲刈りの日取りを見極める。早すぎれば味が乗らず、遅すぎれば台風に打たれる。各地の鎮守では豊作を祈る「風鎮祭」が営まれ、風の神に稲穂を守ってくださいと願いを捧げる。黄金色に波打つ田を見守る案山子もまた、この季節の象徴である。

稲穂垂れ風の重さを知る夕べ

inaho tare / kaze no omosa wo / shiru yūbe

Rice heads bowing — / this evening I feel / the weight of wind

夕風に揺れる稲穂の波の向こうに、秋の深まりがひそやかに近づいている。