七十二候 第46番 · 8月23日 – 8月27日

綿柎開

Wata no hana shibe hiraku · Cotton flowers open

綿の実が弾け、白い綿毛が夏の終わりを告げる頃、暑さもようやく和らぎ始める。

の空気に、どこか秋の気配が混じり始めた。綿畑では蒴果がひとつ、またひとつと開き、白い繊維が朝日を受けて淡く輝く。蝉の声は日ごとにまばらになり、ふと訪れる静寂に、季節の変わり目を感じる。

自然便り

赤蜻蛉が田の畦を低く飛び交い、薄の穂がまだ青いまま空へ伸び始める。夕暮れになると鈴虫が控えめに鳴き始め、燕たちは電線に並んで南への旅支度を整えている。空の色も心なしか澄み、入道雲の勢いが穏やかになった。

果物

巨峰

ピオーネ

白桃

野菜

南瓜

茗荷

枝豆

獅子唐

秋刀魚

小鰭

鱪(しいら)

食卓

01

南瓜のそぼろ餡

柔らかく炊いた南瓜に鶏そぼろの餡をかけた一品、夏の軽やかさから秋の滋味へと移ろう食卓にふさわしい。

02

梨のみぞれ和え

すりおろした梨を大根おろしと合わせ、残暑に涼を呼ぶさっぱりとした和え物。

03

秋刀魚のつみれ汁

新物の秋刀魚をつみれにして生姜を効かせた澄まし汁に仕立てる、秋の走りを告げる椀物。

04

葡萄の白和え

巨峰を絹ごし豆腐と胡麻で和えた、夏の果実に秋のまろやかさを重ねた一皿。

文化便り

かつて綿作が盛んだった大和や河内の地では、この候が収穫の始まりを告げる大切な節目であった。朝露が乾く前に摘めば繊維が湿るため、農家は空模様と相談しながら一日の作業を決めたという。今も奈良の一部の神社では、古式ゆかしい綿畑が守られ、最初の蒴果が開くと神前に報告する習わしが残る。

綿吹いて風の行方を知る朝

wata fuite / kaze no yukue wo / shiru asa

Cotton tufts fly — / this morning I learn / where the wind goes

畦道に舞い落ちた白い綿毛が、夏のしまい支度をそっと知らせている。