七十二候 第52番 · 9月23日 – 9月27日
雷乃収声
Kaminari sunawachi koe wo osamu · Thunder falls silent
夏の雷が遠ざかり、空が静けさを取り戻す頃——秋分を迎え、昼と夜が等しく釣り合う。
幾度となく夏空を裂いた雷鳴が、いつしか山の向こうへ消えていった。朝の空気には涼やかな芯が通り、陽の光は柿の葉を透かして黄金色に傾く。秋分——昼と夜が同じ長さで並び立つこの日、空はようやく深い静寂を得る。
自然便り
赤蜻蛉が稲穂の上を悠々と巡り、夕暮れの草むらでは鈴虫の音色が響く。蝉の声はほとんど絶え、代わりに虫の合奏が夜を満たす。野辺には薄の穂が銀色に揺れ、彼岸花が畦道に緋色の炎を灯し始める。
旬
果物
梨
巨峰
柿(早生)
酢橘
野菜
銀杏
里芋
松茸
春菊
魚
秋刀魚
秋鮭
鰆
食卓
01
おはぎ
もち米を小豆餡で包んだ素朴な甘味、秋のお彼岸に先祖を供養する心を込めて作られる。
02
銀杏ご飯
翡翠色の銀杏を炊き込んだご飯、ほろ苦さが深まる秋の味覚を告げる。
03
春菊の胡麻和え
独特の香りと微かな渋みを持つ春菊を胡麻で和え、秋の内省的な気配を食卓に添える。
文化便り
この候は「秋彼岸」の只中にあたる。彼岸とは、秋分の日を中日として前後三日ずつ、計七日間を指す。人々は墓参りに訪れ、夏草を払い、真紅の彼岸花を供える。昼夜が等しく分かれるこの時、此岸と彼岸の距離が最も近づくと信じられてきた。
雷去りて空の底まで澄みにけり
kaminari sarite / sora no soko made / sumi ni keri
Thunder has departed — / the sky clears all the way down / to its very floor
雷の去った空の下、鈴虫が細い銀の糸を紡ぎ始める。