七十二候 第44番 · 8月12日 – 8月16日

寒蝉鳴

Higurashi naku · Evening cicadas sing

蜩の声が夕暮れの空に響き、暦の上では秋が始まる。

刻、山際から蜩の声が立ち上る。かなかなと哀切を帯びた音色は、暑さの中にあっても秋の訪れを告げる。陽が傾くにつれその声は深まり、空気の質がわずかに変わる瞬間がある。

自然便り

蜩は日の出と日没の頃に最も盛んに鳴き、渓谷や社寺の森に響きわたる。田の畔では赤蜻蛉が数を増し、朝顔は毎朝新たな花を開いては昼には萎む。夜になれば秋の虫の声がかすかに混じり始める。

果物

ピオーネ

白桃

マスカット

野菜

茗荷

モーウイ

獅子唐

つるむらさき

秋刀魚

食卓

01

梨と生ハムのサラダ

薄く切った梨の涼やかな甘みに生ハムの塩気を合わせ、初秋の夕餉にふさわしい一皿。

02

つるむらさきの胡麻和え

独特のぬめりを持つつるむらさきを胡麻で和え、残暑の体を労る。

03

獅子唐の焼き浸し

香ばしく焼いた獅子唐を冷やした出汁に浸し、夏と秋の狭間の味わいを閉じ込める。

04

葡萄の白玉

もちもちとした白玉に旬の葡萄を添え、黒蜜をかけて初秋の果物を味わう。

文化便り

この候はお盆の只中にあたり、各家では精霊棚にキュウリの馬とナスの牛を供え、先祖の霊を迎える。夕暮れに焚く迎え火の煙と蜩の声が重なり、此岸と彼岸の境目が曖昧になる時である。盆踊りの輪は提灯の灯りのもと、夜更けまで続く。

日暮し鳴く影深まりて盆の入り

higurashi naku / kage fukumarite / bon no iri

evening cicada calls — / shadows deepen into / the start of Obon

蜩の声が途絶え、闇が満ちる頃、川面に流れる灯籠の列がゆるやかに遠ざかってゆく。